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これでは一体、何を語ればいいというのだろう。
劉備には失笑を禁じ得ない。
それと気付いた許シは色をなしたが、劉表のカラカラという笑い声が割って入った。
笑うことでその場を収めたのだろう。
座中は和やかさを取り戻し、話題は他に移っていく。
しかし、思い掛けず懐かしい名前に触れた劉備は、その颯々たる風姿を思い返していた。
あの陳元龍も今は鬼籍の人か…
建安七年の春、劉備は彼の訃報に接していたのだ。
劉備は覚えず嘆息を漏らした。
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