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「私の家族は3人でした。弟ができるまでは。」 沙羅の家族はとてもいい家族だった。近所からも悪く言われたことは一度もなかった。 「私は両親と居られることが何より嬉しく感じていました。 ある日弟ができました。」 「沙羅見てごらん。かわいいだろ!?」 「うん!とっても。」 沙羅の目の前には赤ん坊。 沙羅の弟である。 「たかいたかい!」 父親が弟をあやし母親が側で笑ってる光景。 沙羅はまだ知らなかった。これがどういうことになるのかを。 今日も両親は弟にべったり。 「お母さん、明日遠足だからお弁当よろしくね。」 「…。」 返事がない。 「お母さん、聞いてる!?」 「…。」 「ね!お母さんてば!」 「うるさいわね!分かってるわよ!いちいち言わなくてもわかるわ!」 お母さんの怒鳴り声。 沙羅は謝るしかなかった。 「ごめんなさい…。」 次の日、お母さんはお弁当を作ってくれなかった。 #
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