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ーー…あれからしばらく経ち、マリルの集合が掛かった。
「今から戦闘訓練に移ります!好きな相手と戦って下さい。武器は用意してあるので好きなのを選んで待って居て下さい。」
どうやら戦闘訓練をするらしい…。
カインとか言う奴を確かめる良い機会だな。
よし、やるか…
既にクライスの右手に握られた学校の刀。
屋上に来ていたクライスは八階と言う高さから飛び降り、そのまま浮遊し続けた状態でゆっくりと地上に着地した。
そして着地したと同時にカインを探し、視線を左右に向ける。
魔力でわかるっての…。
迷うことなくグラウンドの一番奥の方に進む。
途中何回か勝負を持ち掛けられたが全て断り、何事も無かったかのように去っていく。
クライスが何故こんなにも勝負を持ち掛けられているのかと言うと既にクラスで強さのランク付けがされていてクライスが一番弱い事になっているからだ。
しかしそんなくだらない事はお構い無し。
クライスは刻一刻とカインに迫る。
とその時、クライスは足を止めた。
「ぐっ…何するんだ!?」
刹那、数十メートル離れた所にいたクライスは、一瞬でカインの背後に回り切りかかった。
「何するのかって?俺はお前と戦いたいから切りかかっただけだ!」
なんとかクライスの攻撃を飛んで回避したカインだが徐々に押され始めていく。
カインの剣を弾いて再び切りかかり、間合いを空けさせた所で魔法を発動させた。
「【ice ni-doru】」
「なんだその氷?しかもオリジナルで詠唱破棄!?」
オリジナルは普通の魔法陣と違う為わかるのだ。
クライスによって形成される鋭く尖った氷柱が数本。
カイン目掛けて凄い速さで飛んでいく。
ギリギリ何とか武器で弾いていたカインだが、全て回避する事は出来ず右脚の太ももを貫かれる。
…やりすぎたか。怒られんなこれじゃ…。
出血が酷く血がズボンを滲む。
「お前何故立った?」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
そこには血だらけになった脚を庇うように立つカインの姿が。とても辛そうだがまだ目は諦めてはいなかった。
「…もう止めだ。傷治すから座れ」
「悪いな…」
立っていたカインはゆっくりと腰を下ろす。
クライスもカインの近くで膝を付き、傷を負った右脚の太ももに手を当て魔法を発動する。
「【hi-ru ringu】」
すると右脚の太ももは元に戻り、痛みも消えていた。
これがクライスとカインの出逢いであった……。
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