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ーそれからクライスの部屋だけじゃ足りないとわかった一同は向かいにあるメアリーの部屋も使うことにし、料理の支度を終えた三チームは、ミレニアの料理スタートの合図を待つだけであった。
「じゃあみんな一斉に始めるよ?…よぉい、…スタート~!」
そしてお料理大会?が開始された。
…とても美味しそうで食欲をそそる香りを醸し出し始めたのはそれから数十分後。
クライスの部屋で料理をしていたミレニアのチームとルアのチームは既に盛り付けをしてテーブルに並べ終えていた。
「完成した…!」
「後はクライスのチームだけだね」
料理が完成したことに喜ぶルアチーム。
その時扉を開ける音が聞こえ、ウキウキ姿のクライスと、意気消沈しているメアリーが料理を持って入ってきた。
「待たせたな~」
「全く…顔負けよ」
片手に料理を持ち、中身が何なのかを見えないように、銀色のトレイに銀色の蓋を被せてみえないようにしていた。
「ねぇ!何作ったの~?」
「…見るか?」
「見たい見たい!」
料理をテーブルに乗せたクライスは、要望通りに被せた蓋を取り外した。
「「美味しそー!!」」
「「うまそー!!」」
男子陣、女子陣がクライスの料理を見る目は変わり、煌びやかに光るエビチリに目を奪われていた。
「これメアリーさんが作ったのぉ!?」
「流石は名家だな」
「…わ、私はこんなに上手くできないわよ!」
メアリーの言葉に一同唖然…。こんなに美味しそうなエビチリを作ったのがあの一見ダメダメのクライスだと言うのだから。
「なんだ?俺が作ったら駄目なのか?」
「お、おい!実は作ったのお前だよな?」
「…」
メアリーの反応に焦るカイン。
「いや、だから俺だって」
「……有り得ない。こんなにも涎が出てきて美味そうなエビチリが…クライスが作った物だなんて!!」
「そうだそうだぁ!!」
「だから俺が作ったんだって…」
「「…」」
「さっさと冷めない内に食うぞ?」
「そ…そうだよ…!」
「誰が作ろうと関係ないさ」
みんなで椅子に座り、手を合わせる。
「「頂きます!」」
一同はそれぞれの食べたい物を次々と頬張り、幸せそうな表情で食べていた。
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