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「メアリー、俺は既に持ってる から四つでいいんだ」
と言って、黒い携帯端末を見せるクライス。
「な、なんであんたが持ってんのよ!!?」
「持ってたら悪いのか?」
頭の中が、混乱しているメアリーは、母親の前では何時も、上品な言葉使いだったにも関わらず、素をさらけ出した。
「久しぶりにメアリーの素が見れたわね。ふふ」
「えっ!?あっ…お、お母様…」
「メアリー?私の前だからって気にしなくていいのよ。」
「はい!お母様!」
メアリーに優しく告げるカミール校長。
何とまあ良い光景なのだろうか。
「こ、こいつが…お母様?…ぷッははは!!」
しかし、それを壊す者が一人。
「ははははッ!…あ、やばいかも…」
クライスの前に現れた鬼神。
「ふふ…貴様、何が可笑しい?」
「さぁ、答えて貰おうか?」
「いや…その…えっと…」
親子で鬼神と化した二人の前では、クライスは何もできず、悲惨な目に遭ったと言う…。
「では、頼みましたよ?」
「「はい!」」
みんなのアドレスを交換し終え、準備が出来た。
一方、腫れに腫れたクライスの両方の頬。
その頬は、痛々しく真っ赤になっており、くっきりと手形がついていた。
カインが、依頼書に魔力を流し、魔法を発動させる。
「行ってらっしゃい!」
そして、魔法陣が展開され、光を発したと同時に、一同の姿は消えていた…。
「クライスだけなら兎も角、メアリー達が着いて行って、本当に大丈夫だったかしら…」
今頃になって不安になるカミール校長。
その姿は【暗闇の戦慄】を想わせる面影などなく、一人の母親を想わせた。
無事に帰って来ることを祈るばかりのカミール校長であった…。
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