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「…ん?どうしたんだお前ら?そんな間抜け面して?」
この時クラスの男子が「お前に言われたくねーよ!」と初めて一心同体になった瞬間だろう。
「ごめんなさいね?カミールさん。ちょっと変な目で見られるかもしれませんけど一応私が受け持ったクラスだから責任を果たさないといけないの…」
おい、何本当に申し訳無さそうにしてんだよ。
「そうですか…仕方がありませんね」
カミールと呼ばれた可愛らしい女性はそう言い残すと着席した…。
「では、話を進めますよ?校舎側から見て左手に寮、右手に競技場、グラウンド、校舎裏には図書館と食堂があります。先ず大きな寮は教職員と一学年に一つずつ。競技場やグラウンドは授業の時に使います。最後に質問は?」
「はい、この学園の人数では競技場とグラウンドの広さが足りないのでは?」
手を挙げたのは見た目も賢そうな伊達眼鏡を掛けた少年。
やっとまともな人が居たことに安心したマリルはすらすらと問に答えていく。
「確かに学園内の生徒数では広さが足りませんが、学園内に訓練室が幾つか在るので心配は要りませんよ。
もう他に質問はありませんか?」
生徒達が手を挙げない所を見ると、どうやら質問はこれで終わりの用だ。
そう判断したマリルは次へと話を進めた。
「早速ですが、次の時間はあなた達の属性を調べますからグラウンドに集合して下さい。そしてしばらく魔法に慣れてから魔法学の授業に移り、最後に戦闘訓練をします。分かりましたか?」
生徒達一同が返事をするとタイミングよく授業の鐘が鳴り、挨拶を済ませるとマリルは直ぐさまさま何処かへ去っていった。
…あー学園生活早々居残りかよ。取り敢えず集合場所に行くか…ってどこだ集合場所?
親に怒られても直らない直ぐ忘れる癖。
誰かに集合場所を聞くことにしたクライスは右隣の席にいた大人しそうな女の子に聞いてみることにした。
「なぁ?集合場所って何処だっけ?」
自分に話し掛けられるなど思っていなかったのか、一瞬身体ををびくつかせると同時に此方を向き、口を開いた。
「…グ、…グラウンド…だよ」
可愛らしい小動物のような女の子はそう告げると、恥ずかしさのあまりそそくさと何処へ去っていった。
まあ行き先はグラウンドなのだろうが…。
…俺なんかしたか?
クライスはそのてけてけと歩く少女を追いかけるようにグラウンドへ向かう。
球場一つ分以上あるグラウンドにクライスのクラス1ーAの生徒達が集まった…。
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