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授業の再開を知らせる鐘が鳴り、マリルの声で授業が始められる。
右手には三分の一位の水が入った透明の水晶玉。
恐らく属性を調べる為に使う道具だろう。
「では、ハロルド君属性についてを説明して下さい。」
「分かりました。」
マリルに指名されたのは、ハロルドと呼ばれた一見クールそうな黒髪の少年。
「人の体内に宿す魔力にはそれぞれの属性、炎、水、嵐、岩、雷、光、闇とあり、これを"七代属性"と言います。
基本の属性は、これが全てですが稀の属性を持つ人もいるそうです。」
と、言い終わると直ぐに拍手が起こった。
「有難うハロルド君。注目して下さい。この水晶玉があなた達の属性を調べる為の道具です。中に入っている水が沸騰すれば炎、水が増えれば水、水が濁れば岩、水が乱回転すれば嵐、雷は見た方が良いですね。後、光は水が光り、闇はその逆です。今から一人ずつしてもらいますがいいですか~?」
そして一人一人マリルに呼ばれ属性を調べていった。
「俺は炎だった!」や、「私は嵐だったよ!」などと、喜びの声が聞こえてくる中、クライスは一人あまり興味が無い様子で、近くにあった木の下に座って寄っ掛かりながらその様子を見ていた。
…属性はもう分かってるし。それにしても暇だなー。精神統一でもするか?
クライスは寄っ掛かるのを止め、綺麗に座禅をする。
最小限の魔力を放出し続け、神経を研ぎ澄ませる…。
これはクライスが毎日欠かさず行っている事で、この時間帯は何時もしているのだ。
まあ端から見れば授業をさぼって寝ているだけにしか見えないのだが…
「ヴェルディー君?クライス=ヴェルディー君!!」
遂に呼ばれたクライスの名。
しかしクライスは全く気が付いていない様子…
「…ねぇ?ヴェルディー君知りません?」
近くに居た一人の生徒にクライスの事を聞いてみるが、生徒は頭を左右に振るばかりで、何故かクライスが居ないことによりクラスが険悪なムードに…。
それは何故かと言うと、怒りに満ち溢れた阿修羅が降臨していたからだ…。
魔力探知により、すぐさまクライスが放出する魔力に気付いたマリルは、ゆっくり、ゆっくりと歩み寄り近づいて行く。
「「「…ま、魔神だ…」」」
そんな大変な事態を知らずに、修行と言う名の睡眠をとっていたクライスに魔の手が忍び寄る。
「起きなさーーいッ!!!」
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