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「うぅ~…痛ぇ…」
「はい、もう大丈夫ですよぉ~」
最後に湿布をくっきり手跡が残った右頬に貼り、クライスは痛そうに右頬をさする。
此処は校舎一階にある可愛いくて優しいと評判のサラ=ヒール先生のいる医務室。
何故クライスが医務室に来ているのかと言うと、御覧の通り居眠りしていたクライスにマリルが怒って、マリルの強烈なビンタを右頬に喰らわされたからである。
その威力は物凄く、見ていた生徒達は唖然。
マリルを怒らせないようにと心に誓った事だろう…。
「あーおれしゅぎょうしてただけなのになんでビンタ!されなきゃいけないんだろーな」
教科書を読むのを怠いと思っている奴みたいに棒台詞のクライス。
しかしビンタの所だけちゃんと強調している。
「ご、ごめんなさいね?修行してたなんて知らなくて。ヴェルディー君の事だからてっきり寝てたのかと…」
「俺が寝てたと決めつけたんですか?
後、マリルちゃん?俺の事ヴェルディーじゃなくてクライスで呼んでくれる?」
下を見始めたマリルの顔を、態と姿勢を低くして下から覗き見る。
「う~……くッ…」
虐めがエスカレートしていくクライス。
お前完璧に途中で寝てただろうが…
「ん?何時もの凜とした態度のマリルちゃんは何処行った?」
「い、言わしておけば…」
「マリルちゃん素が出てんだけど?」
我慢の限界か、手をギュッと握り締めて出来た拳を前に持って行く。
「何その拳?後で職員室行くかぁ」
「そ、それだけは…!」
作り上げた拳は何処かへ消え、強気な態度も既に瞬とした態度に変わっていた。
…流石に可哀想か?これで締めにするか…。
「マリルちゃん?今の会話テープに録音しておいたからな?だからもう俺に体罰はすんなよ?」
「…もうしません。」
少し泣きそうなマリルはしないと誓い、医務室を後にした…
「クライス君…流石に可哀想だよマリル先生」
「サラちゃん大丈夫大丈夫!あれぐらい何ともねーって」
クライスもそう言い残すと医務室を去った…。
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