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「…………」
ゼウスをはじめとする敵も驚いたように目をパチクリした。
「………何の真似だ」
自分の首に刀を向ける者にビリドが冷たく言い放った。
その者は長い黒いローブで全身をつつみ、ローブについているフードを深く被っているため顔は見えない。
しかしビリドに向けている刀を握る手はしっかりと力がこもっていた。
そしてその者にはいくつもの側近や幹部の武器が向けられている。
少しでも動けば『死』を意味するこの状況…
「………お前も敵か??」
ビリドの問い掛けにその者は答えない。
しかし、この状況に驚いているゼウスたちを見るかぎり『魔人』ではないようだ。
「お前………私を誰と心得て刃を向けているのかわかっているのか………」
刀をのどに向けられているのにもかかわらず、自分は側近たちによって死なないことがわかっているのか、笑いながら言うビリド
「誰と心得て刃を向けているのか………ですって??」
静かに口を開いたその人物。いくら低い声を出しているとはいえ、その声の主が女性であることはわかった。
「………………」
フードから唯一見えていた口をゆっくりと動かす。
「今すぐ、その武器を下ろしなさい」
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