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「……………」
リーシャはまっすぐ刀をビリドに向けて恐ろしいほどの殺気を放ち睨んでいた。
「………貴様」
「お前こそ誰に向かって刀を向けさせたのかわかっているのか…………偽りの、哀れな王よ」
「…………黙れ」
明らかに敵意むきだしの2人に周りに飛ばされた側近やロリマーの人間は話しかけることすらできなかった。
地上にいる貴族や一般の人たちはただ見守ることしかできなかった。
「今すぐ武器を捨ててその子を解放しなさい」
「無理だ、そんなことをすれば攻め込まれる」
「違う!!それは敵の罠よ、あなたにその子をわざと殺させて魔物の敵意を私たちに向けさせるための」
「なぜ、そんなことがわかる…」
急にそんなことを言い出すリーシャにビリドのさっきまでの勢いは弱くなる。
「少し考えればわかるでしょう。
彼らは『死なない』の、その子1匹助けることなんてたやすい…なのにそうしないのは何か彼らにとって有利になることがあるからよ
わかったなら早く解放しなさい」
まだほんの子供だと言うのにリーシャから放たれる言葉の1つ1つは威厳があった。
「しかし、解放したところで戦争は免れん。
敵の目的は我ら人間を殺すこと…」
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