第1章  

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どことなく涼宮ハルヒがおとなしい。 憂鬱そうでも溜息を漏らすわけでも,実を言うと退屈そうにも見えないのだが,ここ最近どこか奇妙な静けさを感じさせ,その正体不明なおとなしさがおれなんかにはけっこう不気味だ。 もちろん,ただ物理的に静かにしているわけではなく,ましてや情緒的におしとやかになったわけでもない。すでに形成された性格をちょっとやそっとで変えちまうほどハルヒは自分に疑いを持っておらず,大体そんなことになったらまた俺が困るハメになりそうなので今さら矯正してやろうとも思わないが,何というか,年中放射しているだろうキルリアン写真的なオーラが燃えさかる赤から橙色に変色しているような微妙なおとなしさをまわりつかせているのである。
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