晴れ時々LOVE/菊丸

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気持ちいい。 夏の蒸し暑さは嫌いじゃない。 体育館裏の芝生の上、一番大きな木を背に腰掛けた。 木漏れ日が模様をつくって、ゆらゆらと揺れていた。 時間が止まってるんじゃないかと思う。 雲一つない空。 ああ、なんて素敵なの。 「あれれー、 何やってんのー?」 声で誰か分かる。 私を追っかけてきたんだろう。私が教室からいなくなると決まって探しにくるんだから。 「空、見てた。」 青空から目が離せない。 「あんまり授業サボっちゃだめだぞー。」 「…英二も同罪じゃんね。」 「うー、また手塚に怒られるかもー。」 なんだかんだ文句言うくせに、結局はいつもべったり隣りにいるんだから。 相当好かれちゃってるんだわって、自意識過剰にもなる。私が本当にいなくなったらどうなるのかしら… 見当もつかなくて、うっすら目を細めた。 ふう、木陰とはいえ暑い。 いつまで空ばっかり見てるのか不安になる。 時間が止まってるんじゃないかと思う。 ねえ、そろそろ俺の方を向いてよ。 空に焼きもち焼くなんて、自分かなり焦ってる。 きっと相当依存してる。 姿が見えないだけで落ち着かない。探しに行かなきゃって思うより先に体が動く。 考えたくもないけど、もし君がいなくなったら俺はどうなるの。 だめだめ、考えちゃだめ。 そんなこと思っただけで、夏だってのに震えてくる。 俺ってもしかして、 もしかしなくても重い男なのかな。こんなにべったりで嫌にならない人なんているのかな。 下向きな目線をもう一度君に向けたら、いつの間にか俺の方に体ごと向いていた。 「嫌になんかならないよ。」 「え…」 「私がどこにいても、 ちゃーんと探しにきてよね。絶対。」 心読めるのってびっくりしながら聞いたら、分かりやすいのって君は笑った。 その笑顔はやたら可愛くて。こんな気持ちいい青空の下、余計愛しくて。 「どこまでだって探しにいく! …だからちゃんと待っててよね、絶対。」 「いなくなったりしないよ。」 また心読まれたって罰悪く苦笑いなんてしたら、ほっぺつねられた。 「真面目に笑えー。」 「いっ、たたたた!」 だから仕返しに、UFOだっ、なんてベタに引っ掛けてほっぺにちゅー。 あっさり引っ掛かる君が大好き過ぎて、青空に叫びたいくらい。 はあ、本当いい天気! *END
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