始まり

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そんな所を歩く少女は この教室、第2音楽室に入ると 迷わず陽の当たる場所に 足を伸ばして座り込むと ピンク色のケータイを取り出し ジーとメガネのガラス越しでもわかる 大きな瞳で ケータイの画面を見つめた 画面にはトタトタと 歩くペンギンと 今日の日付と時間が デジタル文字で表している 時刻は13:35 4から5に数字が変わると 即座にメールを打つ 『いいよ』 絵文字もない シンプルな言葉 他からみたら意味のわからない言葉だが 自分たちにはわかる 2人がわかればそれで良かった 送信しケータイを閉じて 外の音に耳を傾けて待つ 外からは 風の音とたくさんの声 なにを言ってるかは 全く判断出来なかったが 楽しそうなのはわかった けれど楽しい声だけでは ないんだろうなぁと ポツリと考えていると 携帯から少し古い曲が流れた “彼”からの電話だ 彼とカラオケに行くと 絶対も歌っていた曲 だから彼からの着信は これに設定していた
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