1 青い空に見捨てられた

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私立中森高校は、落ちこぼれと優等生の格差が激しい学校で校舎まで分けられている。 俺と月美は同じ学校に通っていたが、顔を合わせる機会はほとんどない。 それが、俺にとっては好都合だった。 月美は勉強ができるだけでなく、親父は国会議員で母親は大学教授というエリート家庭。 一方の俺は、母親は小さい頃にどっかにいっちまって親父と二人で暮らしてる。 親父は現在、仕事を失い失業保険でパチンコ三昧。 もはや、生きている世界が違う。 俺なんかと知り合いだなんて、誰も思わないだろう。 汚い教室から、特進科が勉強している校舎が見える。 高校を卒業したら、月美は東大とか早稲田とか都会の大学に進学するんだろうな。 そのくらい、成績優秀なのはこの学校に通っている生徒ならみんな知っている。 そうなったら、俺と月美は正真正銘の無関係になるんだ。 さて、俺はどうするかな。 バイクが好きだし、バイク屋にでもなるか。 バイトで貯めた金で中古のバイクを買った。 今の俺にとって宝物と言えるのは、そのバイクくらいだな。 それと、三人で遊んだ思い出か。 月美の姉さん…星加さん。 優しくて、面倒見が良くて…俺にとっても姉さんみたいな存在だった。 今は、もういない。 その現実を思うと、やり場のない怒りが沸々と煮えたぎる。 喧嘩したくなった俺は、授業中にも関わらず席を立ち街へ向かった。
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