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教室の中は静か過ぎた。
彼女は、この場所が嫌いだ。
「遠山 月美」
担任が彼女の名を呼び、返事をする。
点呼が終わったところで、担任が言った。
「今日から、この教室で共に勉強する生徒を紹介する。入りたまえ」
ドアが空き、女子生徒が入ってきた。
前髪が異様に長く、ほとんど目が見えない。
背はあまり高くない…150くらいだ。
髪は所々はねている…セットしているというよりは寝癖のようだ。
とても不衛生な印象。
「彼女は、前の学校では非常に優秀な成績だった。その学力を起爆剤とし、君たちにもよりいっそう勉学に励んでほしい。君、自己紹介しなさい」
「く、くお、久遠 き、ききききき鏡子(くおん きょうこ)です…よ、よよろしく」
やけにどもっている。
その理由が説明された。
「彼女は、幼い頃に交通事故にあい多少言語に障害がある。しかし、そんなことは問題ない。さて、君の席は…そうだな、学級長の遠山の隣が良いだろう。すまんが遠山、放課後に校内を案内してやってくれ」
月美は、快くそれを引き受けた。
それから数ヶ月後…
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