144人が本棚に入れています
本棚に追加
幼いハスキーな声で私の後ろから笑うように話し掛けてくる少女。ルルル。
「これは一種の恐怖だな。リコリの恐怖があいつらに染み込んでいるんだ」
そして私のとなりで失礼な事を呟く男子。アギト。
「いーや。これはあいつらの一種の愛情表現だな!
リコリ会長閣下への愛情を絶対服従の姿勢で表しているんだ!」
斜め後ろからも男子。ナタル。
アギトとは対照的にきちんと今の状況を解っているようですね。
「ルルルとアギトには小一時間説教してやりたいですが……「まずは目の前の哀れなぐんしゅうのじゅばくをといたげないとねー? リコリン♪」
「ルルル……。心を読んでセリフに入り込んでくるのはやめなさい」
後ろではルルルは口を歪めて笑っている事でしょう。
しかしその通り。
このままでは議題が進みません。
呪縛などかけたつもりはありませんが、硬直状態だけでも解かないと。
「ルルル……「おっけーリコリン♪ るーるる、るるるー、るるるるー!♪」
私が指示を出す前にルルルは動く。
人差し指を立て、くるくると回しながら意味のわからない呪文を唱えると、今まで直立不動だった生徒達がその場で力が抜けたように腰を落としていく。
その顔には生気すら感じられないんですが……。
「リコリンの一番やりやすいかんきょーを作ってあげただけだよー♪」
文句を言う前に反論が帰ってくる。
確かに状況的には最高の状態と言えます。
最初のコメントを投稿しよう!