*プロローグ*

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「はいはーっい! みんなあたしにちゅーもくーっ♪」 ルルルが黒板の前でチョークをくるくる回しながら言うと、大人しく座っていた生徒達がいっせいにギョロっと黒板へ首ごと顔を向ける。 初めてこの光景を見たなら並みのホラーよりも恐いと思う。 ちなみにあの生徒達は生徒会に与えられた雑兵達。 役職は会計、及び全役職補佐。 言い忘れたけど、ナタルくんが副会長となっています。 「さーさーみんなあたしを見てーっ♪ もっと見てーっ♪」 くるくると回りながらハートを振りまくルルルを追うように生徒達の首がいっせいに動く。 だから気持ち悪いですから遊ぶな! ルルルの能力、《ハート・コレクター》の応用。 《ハートハック》 生徒達の頭にカチューシャ型の記憶端末を装着させ、そこに言葉を送る事でコントロールしているらしいのですが……。 「あはははっ♪ リコリン怒っちゃうから始めよっか、ぎだい!」 やっと回るのをやめ、黒板にチョークで文字を書き込んでいく。 「きょうのぎだいはこれとこれとこれっ!!」 『ちょうきやすみに入るに当たってのイベントていあん』 『さいきん学園ないをうろついているじんぞうじゅうにたいするたいしょ』 『クレームしょり』 「ってなわけでリコリンどぞーっ♪」 書くだけ書いて私にチョークというバトンを渡して後ろに下がってしまうルルル。 生徒達の視線はそのまま黒板へと向いています。 「相変わらずルルルの文字はひらがなばかりで読みにくいですが……、まあいいでしょう。 ナタルくん!」 「はっ! リコリ会長閣下!」 敬礼し、書類を持って黒板の横に移動するナタルくん。 名前を呼ぶだけで指示を理解し、動いてくれる。 それは助かるんだけど、私は閣下じゃない……。
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