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不意に目が覚めた彼女は、時刻を確認するべく目覚まし時計を手に取った。
チクタクチクタク。
目覚まし時計は規則正しく秒を刻むが、方向は反時計回り。
言葉通り、反乱でも起こしたか。
部屋の中を見回す。
真っ白で、大したモノもない部屋……特に変わったところはない。
相変わらずテレビに映る誰かの目はこちらをジーッと、何かを語るわけでもなく、時々瞬きをしていて。
いつもなら街灯やどこかの家の灯りが届く窓の外は、真っ暗というより真っ黒に塗り潰された様で、この白い部屋とは対照的なコントラストが、やたら鮮明に見える。
今は夏のハズだが、温度は高くもなく低くもなく、本来の意味での温度感を感じられず、知るはずのない真空状態を連想させる。
起きてから耳鳴りが止まないが、あまりに遠過ぎて一種のBGMに思えた。
もう、何度目だろうか。
妙な心地良さを感じている。
ベッドから立ち上がると、彼女は何の迷いもなく玄関に向かい、静かにドアノブを捻った。
今日はどこに行こうか……?
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