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とりあえずの対策として、立ち寄ったコンビニでマスクとスポーツ飲料を購入し、大紀に渡した。
soda256の元気印、某元テニスプレイヤーをも彷彿とさせる頼れる兄貴な彼であっても、こんな状態でスタジオに入るのは酷な話だ。
ましてや、彼のタイトでパワフルなドラムは、見ているこっちが疲れる程激しい……病状がますます悪化しかねない。
「集まっておいてなんだけど、今日は止めておこうか」
私の意見に、武藤さんも頷いた。
大紀も心配だが、何より狭いスタジオに籠もって、風邪を移されては堪ったものではない。
責任感の強い彼からしても、そんな事は望ましくないだろう。
「本当に申し訳ない……」
「謝るならまず治せ。お前だって仕事もあるんだし、長引かせるわけにもいかないだろ……今日はいいから、ゆっくり休め」
いつもは下ネタやらを所構わず、平気で話す武藤さんではあるが、やはり最年長なだけあり、言葉は厳しくもあり優しい。
少し見直したかも。
「というかアレだ、原因……暑いからってまた半裸になってたんじゃないのか」
「あ~……それもあるかも……」
………?
「この前の打ち上げだって、ライブ中も脱いだけど、お前酔っ払って脱いで、それでそのまま寝てたしなぁ……脱ぎ癖と、あと彼女とヤり過ぎじゃないのか」
「うむ……否定出来ない……」
「どうせ昨日も脱いで抜いてヤってたんだろ。それで汗かいて、冷房ガンガン利かせて寝てたとか」
「……オッサン、エスパー……何故それを?」
前言撤回。
私の感動と心配を返せ。
というか貴方達、仮にもここに女が居るんだから、そういう話は自重してほしい。
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