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「中二病か……」
何も考えず、ただひたすらに。
小さなノートにペンを走らせていった結果がコレだった。
頭の中で流れるメロディーを追って、歌詞を載せる作業をしていた筈だった。
しかしそこに書かれていたのは歌詞でも何でもなく、暴力的に綴られた暴力的な文字の羅列。
いや……確かにテレビは先週、窓から放り投げてやったけど。
問題はそこじゃない。
本当は私だって、よく日の当たるラウンジから海辺を眺めつつ、冷たいドリンクを片手にノンビリひなたぼっこをする……そんな映画のワンシーンみたいな、心穏やかな生活をしたいのだ。
怒りや嫉妬にも近い詩ではあるが、出来上がる過程の間その衝動に走らされた記憶も自覚もない。
つまり終わって振り返れば、実は無意識下においての作業。
大抵そんな絵に描いた様な平和なシーンは死亡フラグで、海からはきっと得体の知れない恐怖の対象が現れる……そんな深層心理を打ち出しているのか。
「アカン……」
ドーナツ屋で何をしているのかと自問自答。
ここ最近、自問自答を繰り返している。
せめて古典的なマンガみたいに、天使と悪魔がせめぎ合ってくれればいいものの……どこから答えが返って来るわけもなく。
身体は力無く、萎れた花のように突っ伏す。
ああ、答えが欲しい。
それとも、これは誰かの陰謀かと慌てて顔を上げて、左右を見渡した。
「あの……」
………何やら可愛らしい女の子が目の前に立っていた。
ついに私の天使が出てきたか。
だとしたら、今時の天使は清潔感のあるドーナツ屋の制服を着ているのだろうか。
「カフェオレ、お代わりいかがですか……?」
「……いただきます」
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