招かざる客

2/2
138人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
 その夜は、夕方から雨が降っていて、雨足が激しくなり たまらずこの居酒屋に とびこんだ。  雨の為なのか、店内は客がいない。  それどころか?  客が来たのに、「いらっしゃいませ」の言葉もなかった。  (誰も居ないのか? この店は?)気分をがいした私は、  『すいませーん 誰か居ませんか?』と、店の奥に向かって、声をかけてみる。………が、返事すらなかった。  仕方なく、帰ろうとした時 『お客さん すいません ちょっと、ゴタゴタしてて しばらく お待ちねがいませんか?』  と、店の奥から聴こえて来る。   私は、『お取り込み中だったら いいですよ 帰りますから。』と、  言葉を返し、(客が来てるんだから、顔ぐらい見せろ)と、思いながら 外へと出る。  外は相変わらずの、激しい雨  それに車さえ通っていなかった。  (そうだ、店の人に タクシー呼んでもらおう。)と考えた私は、再び店の中に入ろうとするのだが……?  今度は、店の戸が開かない。 多分 店の者が、のれんも取り込まず 鍵をかけたに、ちがいない。  ………………『と、くれば やっぱ流れ的には、お決まりのホラーだろう?』と、知人は私に 聞いてきた。『今までの展開なら、居酒屋に泥棒が入り 店の連中を殺し かたずけてたように、連想できるね。』と 私が言うと、 知人の男は  『鍵をかけたって強調すれば、お決まりのパターンになるだろう? 今度のモバ小説は、この書き出しに しょうかな? どう思う?意見 聞かしてよ』   『それ、モバ小説のストーリーなんだ❗ へー 小説も書くんだね❗』    私は意外な思いで、知人の顔を見ると、  (この店 さっきから俺達が来てるのに…誰も店の者 来ないし、いらっしゃいませの言葉も無い❗) と…思っていた。 
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!