プロローグ

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 物語を書いたことはあるだろうか?  創作物。漫画、小説、それこそ妄想日記だっていい。  自分だけの世界。  自分の描いた世界。  別に拙くていい。思ったことを、書きたいことを、描きたいことを、自分の望んだ通りに。  作家っていうのはそれだけで夢のある仕事だと思う。  そして俺の家庭はそういう一家だ。  父は翻訳家。  母は絵本作家。  その二人の子供である俺と姉さんが『そういうもの』に興味を持たないはずは無かった。  実際姉さんはミステリ作家だったし、俺は現在文芸部である。  ただし、  姉さんがミステリ作家だったのはもう過去の話で、俺が文芸部に入ったのはただの成り行きだった。
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