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瞼を開けると白を基調とした部屋の天井が見えた。
カーテンの隙間から入り込む光が太陽のそれであるのを判断し溜め息をつく。
…結局僕は帰ってきたのか……
彼が帰ってこない部屋へ。
寂しい部屋へ。
「…ん…」
と、僕の声とは違う声が隣りから聞こえた。
まさか、彼が帰ってきた?と半信半疑で隣りを見れば、布団から金色に近い茶髪が覗いている。
それを見た瞬間、僕は一気に覚醒した。
布団を剥がして上半身を起こす。
ここは彼の部屋じゃない!!誰の部屋だ?!
隣りにいる奴、誰?!
軽いパニックを起こしながら無意識の内にシーツを確認していた。
汚れていないことに安心するあたり、我ながら悲しい過去の持ち主だな…と苦笑する。
そして隣りにいる男の正体を暴くべく布団を勢い良く引き剥がした。
「…な……っ」
剥がした途端にぶるりと身体を震わせて丸まった男は全裸だった。
落とした視線の先の自分の体を見て本当に絶句する。
声が出ないって、本当にあるんだな…
喉が詰まって一瞬、息も吐き出せなかった。
全裸。
男も、僕も。
なにがあったんだ…と行き着く答えが最悪なものと知りつつ、頭の中で仮定を組み立てる。
どうか、最悪の解答がでませんように。
「あやぁ…‥」
と。
布団をはぎ取られた男が甘えた声で僕のことを呼び、僕の腹に両腕を巻き付かせ、脇腹に擦り寄り体温を求めてきた。
その声は。
「邪魔」
そう言った声ではなかったか‥?
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