昨日と違う朝

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ぐずるように、顔を擦り寄せて甘える青年を見やる。 黄色がかった茶髪は柔らかく脇腹をくすぐる。 思わず笑いが零れてその跳ねたショートの髪をくしゃりと撫でた。 「……もう、起きるのか?」 憂いを含んだ声と同時に青年が顔を上げて僕を見る。 寝起きと言えどむくみは見当たらなく、二重で切れ長の目元に囲まれた瞳は茶色、鼻筋は通っていて薄い唇は少し乾燥していたが形のいいものだ。 それらを縁取る輪郭もまたシャープでみるからに色男。 「僕、大学あるし…行かなきゃ」 「ふぅん……」 そんな色男を『青年』と称しているのは、垣間見えるこの幼い表情が原因だ。 第一印象こそ容姿から『青年』と感じたが、静さんの交えた酒の席で、静さんが僕に甘えてくるなり割り込んで僕を睨み付けるその行動は、まさしく子供のそれで『男性』と称すには無理があった。 「……」 「……」 重くない沈黙。 唇を尖らせ瞼を伏せている表情を眺めながら、僕の頭の中は整理されていた。 まず、これは言える。 僕はヤっていない。 全裸だが、下半身は重くないし体力も消耗していない。 むしろすっきりした目覚めに体が軽いくらいだ。 そして、 僕の腹に未だ長い腕を絡ませながら唇を尖らせてすねている『子供』。 名前は、落合遥。
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