No.0【最初のアルカナ】

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 輝く満月の下、荒野で二人の少年が対峙していた。一人の少年は自分と同じくらいの大きさの大鎌を振るって攻め、もう一人の少年は細身の剣で攻撃を防いでいた。  剣を持つ少年は大きく鎌振るった後の隙を見つけるとすかさず腹に鋭い蹴りを食らわせて退けた。蹴られた少年はうまく体勢を整えて鎌を右手で構える。  そんな二人の姿を満月の光が優しく照らしだす。  大鎌を構えた黒髪の少年の名はリチャード。魔族で闇の力を司る【黒陰】の少年である。その証拠に瞳は黒く、髪も黒い。服装は学校の制服で、ネクタイを締めている。 「……はぁ……はぁ」  息が荒く、肩を上下に動かせながらもリチャードは目の前にいる少年から視線を外さず、ただじっと睨んでいる。  剣を持つ白髪の少年はフレア。【黒陰】とは正反対の属性の光を司る魔族【白陽】の少年。瞳は血のように赤く、髪は白色。服装はリチャードと同じ学校の制服を着ている。しかし、その制服には血が付着している。  フレアはリチャードと違い、うっすら微笑む。しかし、どこか哀しそうな雰囲気を漂わせる。
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