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柳ヶ浦私立高校。
柳ヶ浦山の中腹から上を校内とする俺の学校は県内、いや地方一の生徒数が在籍する、しかもその大半が寮生だという変わった学校だ。
学力的なレベルは、残念な事にそこそこを若干下回るレベル。
その分、と言ったら誤解はあるが、行事には他校に無いような事が多く、それが理由で入る学生も少なくないらしい。
かく言う俺もその一人だし。
「……それにしても、今日はやけに人が少ないな」
で、今現在は寮の食堂(バカみたいに広い)で朝食を取っているんだが、珍しく閑散してる。
明明後日を入学式に控えた日と言っても、見える範囲に十人ほどは流石に少な過ぎる。
俺の知らない所で何かあったのかと勘ぐれるぐらいにだ。
「何、百面相で遊んでいますか、砂川春」
「あ、浮雲さん。……あー、おはよう」
「おはようございます」
言いながら俺の正面に座ったのは、黒い長髪が綺麗に背中までストンと流れてる美少女さん、浮雲楓さん。
ラフな格好をしているからではないだろうが、女性らしい体つきを目の前にして俺はやや視線を外してから挨拶。
浮雲さんは事務的な口調で返してから自分で持ってきたかけそばに手を着ける。
今も眠そうな目をしてるが、それは元からであって寝不足な訳じゃないだろう。
……多分。
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