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壱ノ風 春の始まり
「今日もいい天気だ…」
俺はこの席に着くとそう呟く。
公立にしては珍しい広い教室の窓際一番席に座っているからだ。
この学校は卒業生のお偉いさんが建てたとか何とか…
新学期になり、また校長の長い話を聞き
気だるいホームルームも終え、一息つこうかと思った時だった…
「今から転校生の紹介だ、黒板に名前でも書いてくれ」
カッカッ
「初めまして、神崎_桐乃(かんざき_きりの)と言います
これからよろしくお願いします」
「よかったら質問でもどうだ?」
この時今まで見たことないくらい男子の息が合っていた
まるで北朝鮮の軍事パレードを見ているかのようだった
「趣味は?」
「好きな男性のタイプは?」
「スリーサイズを教えて下さい」
「僕と付き合いませんか?」
多種多様な意見が飛び交う。
「まあそんなに急ぐな、ゆっくり順番に質問をだな…」
「大丈夫です。
趣味は水泳と料理、
好きな男性のタイプは男らしくて筋を通せる人、
スリーサイズは禁則事項です、あと今の私に彼氏は必要ありません。以上です」
「あ…ありがとう。じゃあ席は、一番後ろの窓際から2列目だな」
まるで聖徳太子だな。
ん?俺の横じゃないか、話すこともないし気まずいだけだよ
そんなことを思っているうちに横からいい香りがした
彼女の匂いだろう、甘いデザートのような落ち着く匂いだ…
「よろしくね、如月くん」
「おっおう、よろしくな神崎」
高校に入って初めての会話…
悪い気はしなかった
ん?
なんで俺の名前を…
まっいいか…どうでもいいな
「じゃあ授業に入るぞ、教科書開けよ」
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