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「なぜ、彼女の夢を笑うのですか?」
静かな彼の問いかけは、まるで波紋を描くかのように広がり、教室は静まり返った。
「お前のような裕福な家庭に育ち、生活に困ったことの無いやつには判らないだろうが、天文学者なんて職業は金にならない。」
坂田はその答えに、探偵が矛盾を見つけたかのよう眉をひそめた。
「僕の家柄は関係ないはずです。しかし、先生の考え方だと、詐欺や保険金殺人なんかも誰かのためになる立派な仕事ということですか?いや、それは違いますよね。世の中にはお金や世間体よりも大切なものがあるはずです。それに、どんな理由があろうと他人の夢を笑うなんてことは許されることじゃない。」
担任は彼の発言をあざ笑うかの如く言い返した。
「大人になればわかるさ。」
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