旅立ち~理沙篇~

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理沙の一番嫌いな言葉だった。大人は都合が悪くなるとすぐに使う言葉だ。そして、子供はこの言葉に抗えずに諦めるほかなくなる。 理沙もこれで坂田は負けたと思ったようで、目を伏せ、ため息をついた。  しかし、本人は諦めていなかった。 「他人の、しかも、生徒の夢を笑うのが、大人になるということですか?そんなのは大人のすることでは無いはずです。いや、人間として間違っている!彼女に謝って下さい。」 彼は言い方こそ丁寧だが、明らかに命令口調になっていた。担任はそれにより、坂田財閥の御曹司であることを改めて認識させられたようで戦々恐々と理沙と坂田に無礼を詫びたのだった。
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