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それから五年後のクリスマス、二人は同じ歩道橋にいた。そして、理沙に呼び出された坂田は同じ様に尋ねた。
「あのさ、こんな夜に話って何?」
しかし、理沙の方は違った。すぐに答えを口にする。
「博人、私と別れて。」
博人、つまり、坂田はひどく戸惑い、なかなか返事を出来ないでいた。
「そうだ、別れる前にさ、あの時の答え、教えて。星が輝く理由。今度ここに来たら、って言ったでしょ?」
坂田は星が輝く理由を教え、笑顔で独り帰って行った。しかし、理沙はその笑顔が涙に濡れていることに気付いてしまっていた。
ふと、理沙は意識を現在に戻した。
「あれ、星が輝く理由って何だっけ?」
その答えを知る博人にはもう会えないことを彼女は痛い程分かっていた。そして、彼女はもう一つ忘れていたことを思い出した。
「そういえば、今年、夜桜見ようね、って約束守れなかったな。博人もきっと覚えてないかな。大体、理由も言わずに、別れよう、なんて言った女との約束なんて覚えていても行かないよね。」
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