旅立ち~理沙篇~

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「彼は来るわ、きっと来る。あなたも分かっているはず。」 いつの間にか、理沙の母親は部屋に入ってきていた。 「でも、あんなことのあった後に会うなんてできない!それに今会ったら、出発出来ないよ。」 理沙の母親は優しく理沙の頭を撫でながら答える。 「行きなさい。」 「でも…」 「逃げるのは止めなさい!あなたは将来、何になりたかったの?自衛隊?違うでしょ。あなたの夢は今も昔も天文学者になることじゃない!それが何、大人になるにつれて、自分の夢を隠すようになって。親戚から自衛隊に入るのが家族の為に一番良いと言われたからって、何故、その言いなりになるの?あの人たちは私たちのことを分かってない!あなたの夢はあなただけのもの。誰にも笑う権利なんてないのよ。」 理沙はかすれた声で母親に反論する。 「違うわ。私は自衛隊になりたくてなったのよ。他人の目は関係ないわ。」
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