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「まん…クリスマスプレゼントなんだけどな、たいしたもん買えなくて…ごめん」
「BENの居た施設に贈るからでしょ!! サンタの格好して届けてあげれば子ども達喜ぶんじゃない」
「えっ?何で!? 俺話したっけ?」
「宇田(彼の職場の先輩)さんに聞いた」
「兄貴が?」
「うん😃でね!作ってみたんだけど… はい、プレゼント!!」
「まん?これ!!まんが作ったん?」
裁縫や手芸は好きだったので、厚手のネルの真っ赤なパジャマに細工して、即席のサンタ服を作った
勿論、お揃いで自分の分も作った
彼が震えてる…
「BEN?今日行く?明日?」
「今から行く!! 」
2人してパジャマに着替えた
彼の車には子供たちへのプレゼントであふれかえっていた
「毎年…親父っさんに半分負担してもらって、子供たちのリクエストに答えてんだ!」
彼の嬉しそうな顔が私には嬉しくて
何も要らない
彼の傍に居られれば何も欲しくない
施設では年配の女性が出迎えてくれた
「お母さん、似合いますか?」
彼は照れながら聞いた
子供たちは大喜び
1人だけプレゼントを受け取ろうとしない子供を肩車すると、彼は中庭へ連れ出した
「“お父さんをください”だったよな。君にお父さんはいるから…サンタからプレゼントする事はできないんだ。今は会えなくても…君がここに生きているのはお父さんがいたからこそなんだ。俺も君がお父さんに会えるように祈るから、お父さんをくださいじゃなくて、お父さんに会いたいと願ってくれないか?」
彼は男の子にプレゼントを渡してみんなの所へ行くように促した
「まん!おめぇもだぞ!オヤジが何人も居るなんて贅沢なことなんだぞ… あの子たちは…」
子供たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった
施設長にお茶に誘われた
「べんちゃん、あなたにプレゼント!お母さんからの手紙よ」
「はぁ⤴」
「私じゃないわよ。本当のお母さんから施設に届いた手紙よ」
「・・・」
「BEN?読まないの?」
「中学もまともに行ってねぇ俺には…まん…声に出して読んでくんねぇか?」
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