波瀾万丈な一日

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時刻は十一時。もうすぐ私の授業の時間になるんだが…。転入生は遅いな。もしや事故にでもあったのか!? ん?私が誰かって? 済まない。自己紹介が遅れたな。私の名前は早乙女 遥香(さおとめ はるか)という。今年で26になるがまだまだ新米教師だ。 未熟な私だがこれからもよろしく頼む。 しかし困ったな…。あいつらに午前中には来るなんて高を括っていたが…よもやこんな遅くなるとは。 そんなことを考えながら茶を啜ると勢い良く扉が開き一人の女生徒が乱入してきた。 「も、申し訳ありません!何分不慣れな道でして迷子になってました。」 黒髪の綺麗な少女が近くに座っている年配の(国語)教師に話し掛けている。 おや?あの子は…。 「…あれ?遥香さんですか?」 やっぱり、あの時のあの子か。 「そうかそうか。どんな子が私の教え子になるのか写真を見た時に、もしやとは思っていたが…本当に君とは思わなかったよ。」 「あ、その節はどうもでした。それより…遥香さんが私の担任なんですか?」 「ああ、その通り。分からない事があれば気軽に聞いてくれよ?昔からの仲なんだ。」 「ありがとうございます。」 「む、やはりその喋り方なのか。…まあそれもそれで君らしくて良い。もうすぐ私の授業になるから、今はゆっくりしておくといい。」 「はい、ありがとうございます。」 ふふっ、これはこれは。今年一年楽しく担任が出来そうな気がしてきたよ。 そう心中で呟き、もう一口茶を啜った。
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