波瀾万丈な一日

33/33
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
動かしていた足を止めて驚きに満ちた表情で俺を見ていた。 「―――よく、分かりましたね?」 「んー、なんか昔似たような経験があった気がするからな。」 「………そうですか。―――じゃあ、お願い通り元の話し方で話すね?」 「うぉ!すげぇ変わったな。」 「まさかバレるなんて思わなかったもん。薫流君じゃなきゃ気付かなかっただろうし。」 「そりゃ買いかぶり過ぎだって。」 俺の言葉にクスクスと笑う愛々さん。しかしまあ、変わり過ぎだな。…いや、こっちが素か。前のが変わり過ぎてたんだな。 「―――は、変―て――ね。」 「え?何て言った?」 「ううん、何でもないよ。」 「? そっか。」 愛々さんの小さく呟いた声は、俺には聞こえなかった。 「着いたよ。」 「お風呂入って勉強して寝ますか。」 「一緒にお風呂入る?」 「ぶっ!ちょ!!愛々さん!?」 「冗談だよ、冗談。」 「~~~ったく!」 今日は色々あったけど、昨日よりずっと…愛々さんとの距離が戻った気がした。 余談だが、次の日の学校で話し方が急激に変わった愛々さんを見たクラスメートは、転入初日同様に盛り上がった。 ………盛り上がったより騒ぎ回った、という方がシックリくる気がするけど。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!