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動かしていた足を止めて驚きに満ちた表情で俺を見ていた。
「―――よく、分かりましたね?」
「んー、なんか昔似たような経験があった気がするからな。」
「………そうですか。―――じゃあ、お願い通り元の話し方で話すね?」
「うぉ!すげぇ変わったな。」
「まさかバレるなんて思わなかったもん。薫流君じゃなきゃ気付かなかっただろうし。」
「そりゃ買いかぶり過ぎだって。」
俺の言葉にクスクスと笑う愛々さん。しかしまあ、変わり過ぎだな。…いや、こっちが素か。前のが変わり過ぎてたんだな。
「―――は、変―て――ね。」
「え?何て言った?」
「ううん、何でもないよ。」
「? そっか。」
愛々さんの小さく呟いた声は、俺には聞こえなかった。
「着いたよ。」
「お風呂入って勉強して寝ますか。」
「一緒にお風呂入る?」
「ぶっ!ちょ!!愛々さん!?」
「冗談だよ、冗談。」
「~~~ったく!」
今日は色々あったけど、昨日よりずっと…愛々さんとの距離が戻った気がした。
余談だが、次の日の学校で話し方が急激に変わった愛々さんを見たクラスメートは、転入初日同様に盛り上がった。
………盛り上がったより騒ぎ回った、という方がシックリくる気がするけど。
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