エゴイストなアイツと兎耳な自分。(完)

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どうも、こんにちは。 三宅奈津です。 え~、今日は土曜日なんですが、俺はとある物を買うために一人で街に来てます。 ……って俺誰に説明してんだろ?訳わかんねぇ。俺は弓崎と違って全くの常識人だと言うのに。 …まぁいい。気にしないでいこう。時間もそんなに余ってる訳じゃないし。 「てか、未だ売ってんのかよ」ウサギのぬいぐるみ。 とりあえず後半の科白は飲み込んだ。流石に高校二年にもなってその独り言は恥ずかし過ぎる。 …一応言っとくけど俺が欲しくて買う訳じゃないから。とかいう弁解。……いや、マジで。 実は今月、我が愚妹が8歳の誕生日を迎えるので、そのプレゼントを買いに来た、という事なんです。 怪しまれない様に、妹からそれとなく聞き出して『ウサギのぬいぐるみ』が欲しいと言う事を知った。その答えにアイツもなんだかんだ言って未々子供なんだな、と思って頬が弛んだのは先週の月曜日。 出来れば可愛い妹を驚かせてやりたいなぁ、なんて思ったイイ兄ちゃんな俺は今日、友達の家に来てる事になっている。 そんな事を考えている内に店に着いた。街で一番大きなデパートのおもちゃ売り場。 ブツブツと呟きながらエスカレーターに乗り込む。うん。サッと買ってサッと帰ろう。それが一番、電話は二番。三時のオヤツはプリンを希望。生クリームなんて乗ってたら最高だ。 独り言を喋ってたせいか前に乗っていた同年代のカッポーに不審な目で見られたけど俺は気にしないゼ(キラッ)だって俺は良い兄ちゃんだからな。 今日の俺は例え相手が弓崎だろうと負ける気がしないよ? とか考えたその時だった。 「あれ~?そこにいらっしゃるのはミヤ君じゃないかに?」 噂をすれば(してないけど)、なんとやら。おもちゃコーナーのある三階に到着した俺を出迎えたのは弓崎本人だった。 「は…?なんでお前がここに?」 「もしかしてミヤ、俺の事気にしてくれてんの?……まさかのデレ期到来?」 1人でデレ期デレ期騒いでる弓崎を軽く押して場所を移動する。いつもの事だがメーワク過ぎる。 「ハァ…違ぇよ。お前がこの階に用事があるとは思えないから聞いただけだよ」 腹の底からため息を着いた。あぁ、頭痛い。 「なぁんだ。つまんないの」と弓崎は唇を尖らせた。アヒルの様なソレを戯れに指で摘まむとふに、と案外柔らかい感触に驚く。男の唇もこんなに柔らかいんだな…女子のは触った事ないから比べようがないけど。
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