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「はじめまして、萌えっこもんすたぁの世界へようこそ。わしの名前はオーキド。みんなからは萌えもん博士と慕われておるよ。この世界には、萌えっこもんすたぁと呼ばれる生き物達が、至るところに住んでいる!その萌えもんという生き物を、人は嫁にしたり勝負に使ったり……そして、わしはこの萌えもんの研究をしてるというわけだ。では、君の名前を教えてもらおう」
「………じいちゃん、僕の名前忘れたの?」
白衣を着た白髪の老人は、その孫から白い目で見られていた。
「いや、違うんじゃシェン。これは今日来る予定の新人トレーナーの挨拶の練習でな」
そう、この日ここにいるオーキドの孫、シェンを含めた三人のトレーナーが旅に出る予定だった。
予定だったのだが。
「来ないね、じいちゃん」
「うむ、来ぬのぅ」
夕方になっても、残りの二人は来なかった。
「うーん、一人はグレン島から来るからよく分かんないけど、もう一人の女の子はトキワから来るから遅れるはずないんだけどなぁ」
シェンがため息をつくと、オーキドがやれやれと呟いてシェンに言った。
「仕方ない、お前、この三人の中から好きなものを選びなさい。そして図鑑完成の旅に出るのじゃ」
「いいの、じいちゃん?」
「うむ、遅刻する奴らに選ぶ権利はないじゃろ」
シェンはしばらく迷ったが、やがて一つのモンスターボールを手に取った。
「ほう、シェンはフシギダネか。しっかり育てるんじゃよ」
「うん、ありがとう」
差し出された図鑑を手にして、シェンは夕暮れの中旅立った。
「やれやれ、残りの二人、ショウとランリは何をしているやら」
オーキドは残された二つのボールを横目にぼやくのだった。
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