序章:旅立ち

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その夜、ぼちぼち日付も変わろうかという時間に、一人の少女がマサラタウンに到着した。少女は町のはずれにある研究所の扉の前に立ち、目の前にあるインターホンを… 連打した。 ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン 「な、なんじゃ!一体何事じゃ」 オーキドがびっくりして出てきたのを確認して、少女は優雅に一礼する。 「はじめまして、オーキド博士。私、今日伺う予定だった、ランリっていいます」 オーキドはただ絶句していることしかできなかった。それほどに彼女の印象は強烈だったのだ。長い髪にスカート、帽子という割と上品な格好だが、やってることはめちゃくちゃだった。 「き、君!なんじゃこんな時間に。しかも人を呼び出すのにインターホンを連打する奴があるか!」 ようやく言葉を取り戻したオーキドが怒鳴ると、ランリはしゅんとしてうつむいた。 「ごめんなさい。遅れたことを怒られるのが怖くてついいたずらしちゃったの……」 半泣きになったランリを、オーキドはあたふたとしてなぐさめようとする。 「い、いや、何も怒っとる訳じゃないんじゃ」 「本当ですか?」 「うむ、本当じゃ」 「わーい、じゃあ手持ちの萌えもん下さい」 あっさり元気になった少女の様子に、演技だったことを知らされながらも、オーキドは残された二つのボールを持ってきた。 「さて、残り二つになってしまったが、選ぶが良い」 「んー、こっち」 ランリは即決で自分のパートナーを決めた。 「ゼニガメか。では、頼んだぞ。ランリ」 「はーい!」 こうして二人目のトレーナーも図鑑を手に旅立ったのだった。
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