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結論から言えば、ショウは死ななかった。ただマサラ南の入り江になっているところで、爆走していたラプラスの急ブレーキを受け、慣性に従って空中に放り出され、地面に顔から着陸して、悶絶していただけであった。
そう、そ れ だ け だ 。
しかもラプラスがお腹空いたナー、とか言ってさっさとグレンに帰って行ったので、ショウはしばらく起き上がれなかった。むしろ、起き上がりたくなかった。
それでもなお、神様はショウのことが嫌いらしい。地面に激突したときのガツンという音を聞いて、オーキド博士が研究所から出てきたのだ。
「お前、大丈夫か?」
「いや、全然。てか死ぬ。俺出血多量で死んじゃう」
「……それは鼻血じゃろう。精々貧血程度にしかならんよ」
突っ込みを入れつつ、オーキドは考えていた。グレンの方向から来た、ということはこのいかにもヌケてそうな少年が第三の図鑑所有者となる者なのか。
「うーむ、お前、もしかしてワシに会いに来た者か?」
「そうひぅアンタは、オーキドのじーひゃん?」
「……とりあえずティッシュ」
「どうもっス」
激しくなる鼻血を見かねたオーキドがティッシュを渡すと、ショウは適当な敬語で礼を言った。「まぁ、ワシのことを知っておるし、お主がショウで間違いなさそうじゃな」
オーキドが聞くと、ショウは顔の血を拭って立ち上がる。
「そうだ!俺は神崎翔!みんなからショウって呼ばれてんだ。よろしくな!じーさん」
「……………」
「早速だけど、図鑑と萌えもんをくれない?」
ショウはキラキラした目をオーキドに向けた。しかし、オーキドの言葉はショウの予想を裏切った。勿論、悪い意味で。
「断る!」
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