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「ヒトカゲ……」
「うむ、髪の先に炎が点いておるじゃろう?この炎は命ある限り絶対に消えないのじゃよ」
「へー」
ショウが感心していると、そのヒトカゲが話し出した。しかも、ショウを睨み付けながら。
「博士、このヌケてるような奴があたしのマスターになるわけ!?」
「ぬ、ヌケてるだって!?おいお前、ヒトカゲ!俺に喧嘩売ってんのか?」
思わず反論したショウを、ヒトカゲは睨み続ける。ちなみに、ヒトカゲは“にらみつける”の技は覚えない。
「そうよ!悪い?てゆうかね、ヒトカゲヒトカゲって種族名で呼ばないでよ鬱陶しい!あたしにはリリアっていう立派な名前があるの!」
ヒトカゲ――リリアは、かなり苛立っているようだった。
「これこれ、一緒に旅に出る仲間になるんじゃよ。もっと仲良くしないか」
オーキドがなんとかなだめようとするが、
「博士!あたしこんなのと旅なんて出たくない!」
この始末である。
「どうしたんじゃ、いつもは快活なお前が今日はこんなにイライラしおって」
そう聞いても、リリアは何も言わない。
「この、いい加減に……」
ついに怒り出したオーキドを、さっきまで挑発に乗っていたショウが黙って止めた。
「ショウ……?」
訝しむオーキドを尻目に、ショウはリリアの頭に手を乗せる。
「き、汚い手で触らないで!」
叫ぶリリアを優しく撫でて、ショウは小さく言う。
「ごめんな……」
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