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「な、何いきなり謝ってんのよ!?」
さすがに予想外だったのか、リリアが慌てる。
「寂しかったんだよな。一緒に暮らしてきた仲間が先に選ばれて旅に出て。しかも俺が遅れたせいで怒らせちまった」
ショウはリリアの頭をごしごしと撫でる。リリアは少しうつむいて、ぼそりと言った。
「んなんじゃ……よ」
「え?」
「そんなんじゃないわよ!ただ、ただ……不安だったの。マスターになる人が、ヒトカゲなんか……い、いらない、フシギダネやゼニガメが……よ、よかったって言うんじゃないかって」
後半少ししゃくりあげながら、リリアは告白した。
ショウは、リリアを撫でる手を止めずに返す。
「それも、俺が遅れたせいだ、済まん。でも、仮に俺に選択する権利があったとしても、きっと君を選んだよ」
「ほ、本当?」
最初の勢いは何処へやら、リリアは弱々しくすがるようにショウに聞いた。
「ああ、本当だ。だって、こんなにかわいいんだから」
リリアは、赤くなった頬を隠すためにぷいとそっぽを向いた。
「あれ?怒った?」
「怒ってない」
「じゃ、どうして目を合わせてくれないんだよ?」
「う、うるさい!もう連れて行きたいなら連れていけばいいじゃない!」
ショウはため息をついた。まあ何はともあれ、ご同行していただけるようだ。
「あ、あと……」
「?」
やれやれと思っていると、リリアがまた話しかけてきた。
「さっきの、萌えもんは『家族』っていうの、あたしはとってもいいって思ったから」
それだけ言い残して、自分からボールに戻ってしまった。
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