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「今日からこのクラスの仲間になる、江波樹くんだ!みんな仲良くやってくれよ!」
担任の原西先生は数学の教師らしい。
元気な声を張り上げるが、肝心の生徒たちの反応はイマイチ。
それもそのはず。
ボクが住むマリンポートタウンは、今まさに開発が盛んな土地で。
ボクたちのマンションも、出来たてでドンドン人が入居している状態だから、転入してくる人はかなり多い。
みんな転入生には慣れてしまっているのだ。
とはいえ、一応、
「よろしくお願いします」
壇上で軽く頭を下げると、パラパラとした不揃いな拍手が起こる。
……これで、とりあえずは終了。
ホッとした思いで壇上を降りようとすると……
「あぁ~っ!!」
教室に大声が響き渡った。
ボクはビックリして思わず動きを止める。
ズレかけたメガネを戻しながら、声の主を探してキョロキョロとしていると……
「オレオレ~!」
後ろの方で、ピョコンと立ち上がって大きく手を振っているのは……
「あ!今朝の!」
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