プロローグ

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それをシラッとした顔で見守る、テンションの低いボクらは双子の姉弟だ。 同じ顔に、同じ肌。 身長はボクの168センチに比べて花ちゃんは162センチと違うし、髪だって花ちゃんは長くしているけれど。 双子だということは一目瞭然だろう。 そして、双子とは仲が良く通じ合っているもの…… と思っている皆さん、ごめんなさい。 ボクらはその中では、かなり異質な関係かも知れない。 「……イツキ。バター取って」 「うん」 いつの頃からか、ボクはこの双子の姉である花ちゃんに嫌われ出したみたいだ。 理由は良く分からない。 ボクらは顔がソックリだから、それをからかわれるのが嫌だったのかも知れないし、 (とはいえ女顔だから、からかわれるのはもっぱらボクの方だけど) 花ちゃんは可愛いから、それを目当てにボクに近づいてくる友達が嫌だったのかも知れない。 とにかく…… 今では交わす会話はこの程度。 サッサとパンを食べ終えた花ちゃんは、無言でミルクを飲み干すと席を立つ。
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