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「……のババア!今日という今日は、もう絶対勘弁ならねぇ!!」
オレの声に、ババアが……いや、母親がグッと眉毛を上げる。
「勘弁ならないがどうした!?文句があるなら出て行きな!」
「ああ、出て行ってやる!」
オレはドアを開けると、外に飛び出す。
……マジでムカつく!!
荒々しくドアを閉めて、さらに蹴りを入れようかどうしようか迷う。
やりすぎると、ババアが飛び出してきて、鉄槌を加えられたことが経験上、何度かあるからだ。
「覚えてろよ!」
結局、毒づくだけに止めて。
エレベーターに向かおうと、身体の向きを変えた……ところで、オレはハッと立ち止まった。
「……」
2軒隣の部屋の前。
可憐な美少女が、こちらに顔を向けて、怯えたような顔をしている。
……イツキ……いや、花ちゃん!
オレの胸はズキンと音を立てて弾む。
潤んだようなパッチリと大きな目に、陶器のようななめらかな肌。
肩までのサラサラロングは少し茶色がかっている。
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