371人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
「あら~、花ちゃん、もう行くの?」
ママに言われて、花ちゃんは小さく頷くと、
「あたしの学校は距離があるから」
短く言って、リビングを出て行ってしまった。
──今日からボクらは転校生。
とはいえ、通う高校は2人とも別だ。
引っ越しをする際の、花ちゃんの条件は、
『女子校に通うこと!』
だったのだから。
おかげで彼女は家から30分かかる、山の手の方の聖華女子高校に通うことになったのだ。
もちろんボクは近さ重視。
海沿いにある、共学の海浜高校に即決だったけど。
……って言うより、ボクはこの転校自体、すっごく嫌だったんだ。
理由は……
♪♪♪♪♪♪
ポケットの携帯を、パンのクズを急いで払った手で取り出す。
メールボックスを開くと、絵文字いっぱいの可愛い文面が目に飛び込んできた。
『題名:いっちゃん!
本文:いっちゃんがいなくなって1日目の朝です。もう寂しくなって泣きそうだよ……いっちゃんも遥のこと考えてくれてる?』
最初のコメントを投稿しよう!