プロローグ

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「あら~、花ちゃん、もう行くの?」 ママに言われて、花ちゃんは小さく頷くと、 「あたしの学校は距離があるから」 短く言って、リビングを出て行ってしまった。 ──今日からボクらは転校生。 とはいえ、通う高校は2人とも別だ。 引っ越しをする際の、花ちゃんの条件は、 『女子校に通うこと!』 だったのだから。 おかげで彼女は家から30分かかる、山の手の方の聖華女子高校に通うことになったのだ。 もちろんボクは近さ重視。 海沿いにある、共学の海浜高校に即決だったけど。 ……って言うより、ボクはこの転校自体、すっごく嫌だったんだ。 理由は…… ♪♪♪♪♪♪ ポケットの携帯を、パンのクズを急いで払った手で取り出す。 メールボックスを開くと、絵文字いっぱいの可愛い文面が目に飛び込んできた。 『題名:いっちゃん! 本文:いっちゃんがいなくなって1日目の朝です。もう寂しくなって泣きそうだよ……いっちゃんも遥のこと考えてくれてる?』
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