688人が本棚に入れています
本棚に追加
見惚れてしまっていた俺を差し置いて、周りの空気が凍り付く。
ああ、ここは南極だったのか、そう思える程に。
そんな空気を変えるためか、担任の若い女の先生が取り繕うように
「・・・・えっと彼女は南中出身、中村佳奈子さんです。仲良くしてあげて下さいね。」
と言った。
先生、ナイスフォロー・・・・か?
先程はやり手かと思ったがもしやただの新米なのではと不安を感じさせるような対応だった。
まあ、とりあえずはフォローも入ったことだ。
そこで終わればよかったのだが、何を思ったか中村は
「ふざけないで、あたしは東中出身の、涼宮ハルヒよ、変なこというと死刑よ。」
ああ、もうだめだ。
完全に空気が凍った。
地球の終わりってこんな感じなのだろうか?
凄まじく痛々しい。
全く、変な奴がいる学校に入学したもんだ。
その後、中村は周りを見渡し、不機嫌そうに席についた。
呆れ半分に俺は机に突っ伏して現実逃避(ただの居眠り)をモードに入る。
・・・・が、しかし、笑えない偶然は終わりを見せなかった。
次の生徒、つまり次の列の一番前の生徒が吐き出した言葉に俺は机に顔面を打ち付ける以外の選択肢を与えられなかった。
「南中出身、谷口です~よろしく。」
谷口までいるのか、ふざけんな。
最初のコメントを投稿しよう!