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「次に。サンタあてに置かれたミルクやクッキーは必ず頂く事。残さずに」
「え、周った全部の家に置いてあるのをか?別に食わなくても良いじゃねぇか、めんどい」
食する事があまり好きでない俺は、特に嫌いな甘い物を一晩中食わなきゃならないことを知って一気にやる気が失せた。
「子ども達の好意を無駄にしてはいけないよ。これも仕事の一つだ」
あ~、今サンタの謎が一つ解けたぜ。
サンタのあの体型の元は子どもだったんだな……。あんな体型にならない為にも、やはり食は控えよう。
「後はその衣装だね…。少しの間、動かないでおくれ」
そう言うと、俺を暫く見据えてから、急に指を鳴らした。
ん?何か暖かくなったぞ?
「どうだい、似合うじゃないか!」
?
サンタが俺を見ながらうんうんと頷くので、恐る恐る自分の体へと視線を向ける……
「うわっ!!」
俺の服がっ!
真っ黒だったスウェットが、鮮やかな赤に染まるコートへと姿を変えていた。
コートには、金のボタンが三つ並んでいて、袖口には雪よりも白いファーが。
ズボンもまた赤で、唯一変わってなかったのが黒のブーツ。
「こんなもん着れねぇよっ!」
被っていた白いボンボンのついた赤い帽子(元、俺の黒ニット帽……)を地面に叩き付けて意思表示するも、サンタは
「遠慮すること無いさ。そこまで高い訳じゃないからね」
って「着れねぇ」の意味を取り違えてるな、このサンタ。
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