サンタのルール

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サンタは俺の投げた帽子を拾い上げて雪を払い、俺に渡した。 「守る事と言ったら、まぁそんなところだろう…」 それから一度背を向けると、何か思い出したように「そうだ」とまた振り返った。 「忘れてたよ。君は今夜が初めてだからね、ルドルフに案内役を努めてもらうよ。良いだろう?」 サンタは少し首を傾げ、トナカイに聞いた。ところが、トナカイは首をブンブン横に振って、完全に俺を拒否してる。 このトナカイ、俺に踏まれた事まだ根に持ってんのか? 「おぉ、ルドルフ。この少年と仕事するのがそんなに嬉しいのかい、それは良かった」 「………」 こんなサンタでトナカイも苦労してんな。 敢えて何も言わないからな、俺は。 トナカイも落ち込み気味に頭をうなだらせている。 っと、これはサンタに呆れてんじゃなくて、俺につく事になったから凹んでるってだけか。 「それじゃあ、行ってもらおうか。プレゼントはソリに乗ってるよ。そうそう、これは配る子どものリストだ」 サンタはコートのポケットから、金色で文字の書かれた赤い封筒を出した。 それを受け取ると 「じゃあ頑張っておくれ。ルドルフも頼んだよ」 そう言ってウインクをして見せた。 と、途端に風のようにサンタは消えていた。
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