fiasco…ラグジン

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fiasco…ラグジン

「早く来ないかな…」 この日、ジン=キサラギは第十三階都市カグツチにて、ある人物を待ち伏せしていた。 尋常では無い、妖気が漂いそうな装備をして。 ―――― fiasco ―――― ことの発端は、彼の部下が何者かによって襲撃を受けた事から始まる。 「キサラギ少佐…どうやら例の死神が現れた模様です」 「死神…」 部下を保護したらしい支部長が、重厚な造りをした椅子に座り、黙々と書類を片付けている端整な顔をした青年に向かい、前置きも無く淡々と事の始終を伝えた。 その重傷を負いながらも何とか統制機構の支部に辿り着いた部下は、意識を失う直前に聞き覚えのありすぎる名前を口にしたと言う。 「ラグナ=ザ=ブラッドエッジか」 書類に目を通しながらも、核心を突くキサラギに同意を示し支部長が傾く。 ラグナ=ザ=ブラッドエッジと言えば至上最高額の賞金首であり、自分が所属している世界虚空情報統制機構の反逆者。 そしてこの謎多き青年が何らかの関係を持っている唯一の男。 「勇敢なる我が部下に安らかな休息を与えてやって下さい」 青年は微笑を浮かべ、それだけを支部長にお願いすると机に立て掛けてあった愛刀を手にし、立ち上がる。 「あと…この話し、ヴァーミリオン少尉には内密にしといて下さい。彼女に話すとややこしくなりますから…」 「了解しました」 この時、支部長はキサラギ少佐がスキップをしながら鼻歌まじりに部下の襲撃場所へと向かっていくのを見てしまった様な気がしたけれど、彼は目の錯覚だと首を振り、健康の為に徒歩でまた来た道へと戻って行った。
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