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老人は険しい顔をして重い口を開けた。
「こりゃまずい、魔力が枯渇しておる。それに怪我もだいぶ多い。これで魔力の方は少しでも戻ればいいが。」
そういうとその老人は、腰についている袋からおもむろに紫いろの液体の入った小瓶を取り出した。
すると老人は、その小瓶の中の液体を痛みで体がうまく動かない私の口へ流し込み、飲み込むように促した。
多少苦味はあったが、飲んだ瞬間、ふっと薄紫いろの淡い光が私の体を一瞬包みこんだ。
効き目はすぐに現れた。体の痛みが少し和らいでいた。
私が不思議そうにその空になった小瓶をみていると、
「この薬はな、魔力を回復して痛みを和らげる薬だ。よし、立てるか?」
そういって老人は立ち上がり、私に手を差し伸べてきた。
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