一人目

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状況を鵜呑みにできないでいる私は、老人の声ではっとした。 「…おい、大丈夫か?顔色が優れぬようだが。」 老人が私に声をかけ心配そうに見つめる。 「あぁ、大丈夫です。すいません」 さて、これからどうすればいいんだ? と私はこの先のことに頭を抱えていた。 「うーむ。事情は分からんが、わしのところにくるといい。 まずは傷の手当てをしてやろう。」 老人は私にやさしく笑いかけた。 「っえ?いいんですか?ありがたいですが、迷惑では…?」 そう私が言うと 「なぁにいつもとさしてかわらんさ」 笑いながらくるっと向きを返した老人は、 杖でとんとんと地面を突く。 私には老人の行為ひとつひとつが新鮮だった。
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